なんくるなかった⑤

追想

そんな嫌われ者のリア充ツキノだったが、オレも実はクラスではそれなりにオンナノコに囲まれた生活をしていた。何せ文系なのだ。

ただそのことをアパートに帰って口にしなかったという差があっただけだ。本当に嫌なヤツは、ツキノではなくオレだったのかもしれない。

 

「アカミネサトシくん!アカミネサオリさん!・・・」

日本語教育課程の担当教官が出席を取る声が響いていた。

その日、入学後初めてのクラスのオリエンテーションが、情報科学センターで行われていたのだった。

クラスの人数は20人くらいだったが、そのうち女の子は7割。更にそのうちの7割が地元出身のオンナノコだった。

その中にひとり気になるオンナノコが居て、彼女はオレの席の後ろに座っていた。
アンニュイな雰囲気を漂わせている彼女に、突然振り向きざまにこう言ってしまった。

 

「あんなあ、オマエ、オレのこと好きやろ!?」

 

彼女は怪訝な顔をして目を見開いた。初体面である。
何故そんなことを言ったのか自分でも未だわからない。

オマエと言われた、その人の名前はミーヤ。
ミーヤとは、その後10年越しのドラマを共に演じることになる。

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