なんくるなかった⑦

追想

その日は珍しく、1次会で飲み会が終わった。宜野湾の豊年満作という居酒屋で三々五々、だいたいの連中は自分の車を運転で帰る。当時はそれほど飲酒運転に関しては世間の目もさほど厳しくはなかったし、特にオキナワはそうだった。

 

クラスの飲み会は、年を通して頻繁に行われていた。オレ達は日本語教育課程の1期生ということもあり、全員ともに仲が非常に良かった。特に二年生になった頃には、誰かの誕生日にかこつけての飲み会が毎月必ず行われていたのである。

家が近所なので歩いて帰ろうかなあ、と思いながら店を出ると、自分の車に向かおうとしているミーヤと目が合った。

「あ、送っていってくれるかな。」

 

中古のシビックの助手席に乗り込んでシートを少し倒す。見上げると長いストレートの黒髪から垣間見える彼女の左頬は、ほんのり上気しているように見えた。

エンジンキーを回すと、点火音と共にHONDAのDOHCのピストンが滑らなエンジンオイルに包まれ、静粛に上下し始める。エアコンを入れると生暖かい風が吹き出す。しばらくするとそれは冷たくなる。ミーヤはクラッチを踏みシフトレバーを入れアクセルを踏む。

 

駐車場を出た車は、滑らかに国道へ合流する。エアコンから、南国の島の夜独特の甘い香りが吹き出していた。車は、まばらだった。

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MAZIO

人生わけわかんなくなった人専用メンタルセラピスト・コーチ。タロット使い。魔女系女子御用達。お笑いルポライター。狂人ドットコム記者。つまりお笑い魔道士マルフィルス。

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