追想

追想

なんくるなかった⑥

その日から10年ほど過ぎた頃、オレ達は都内のはずれで西武多摩川線に乗っていた。とても都内の鉄道路線とは思えないほど閑散としている。三両編成なのに。 ドア付近に立って揺られ、うつむき加減に黒目がちな瞳を合わせてくるミーヤ。話しかけてくる...
追想

なんくるなかった⑤

そんな嫌われ者のリア充ツキノだったが、オレも実はクラスではそれなりにオンナノコに囲まれた生活をしていた。何せ文系なのだ。 ただそのことをアパートに帰って口にしなかったという差があっただけだ。本当に嫌なヤツは、ツキノではなくオレだったの...
NO IMAGE つれづれ

記憶の整理

幼少期の記憶 あまり過去は振り返らないのだが、気持ちの整理もかねて思い出してみた。インパクトの強い記憶から順に浮かんでくる。 母と祖母に両側から腕を引っ張られ泣いた。勢いよく目の前のガラスが割れる ...
追想

なんくるなかった④

「ねえ、アーニー、第二外国語はどうするつもり?」 オレはアパートの連中から「アーニー」と呼ばれていた。 現役入学のツキノが2つ上のオレのことを「兄い(あにい)」と呼んだのが始まりで、そのうちそれが変化し、アパートの全員が...
追想

なんくるなかった③

ここにやってきてびっくりしたのは、みな開放的で人懐っこいということだった。本州から来た人も含め。 オキナワの大学というと地元の人が多そうなイメージがあるかもしれないが、県内と県外の学生比率はだいたい半分半分で、県外生のほとんどは九州の...
追想

なんくるなかった②

ヒラタさんのブリーフから滴る「一番搾り」を浴びる二年ほど前、オキナワにやってきた。 その前は関西のとある私立大学に籍を置いていた。もともと中学も高校もサボりがちだったけれど、親元を離れ自由になったことを境にその性分はさらに加速...
追想

なんくるなかった

いわゆる古めかしい昭和のアパートの、共用玄関口にオレ達は居た。 そこは3畳くらいの広さの板の間になっており、土間には下駄やスニーカーやライダーブーツなどが雑然と並ぶ。 そこにヒラタさんが帰ってきた。白のタンクトップの肩口にはリュック...
つれづれ

ラーメン修行

鳥取県に来来亭ができた! 僕にとって来来亭は意味のある場所なのです。 約10年前、1つの夢を達成し、県外から鳥取に戻ってきた。 あの頃は次に追うべき夢もなく、退屈な日々を過ごしていた。 そんなある日、...
追想

変わりすぎだよお父さん

私の父は公務員でした。真面目で、面白みもなく、笑顔もない。 遊んでもらった記憶もほとんどなく、楽しく会話した記憶もあまりない。相談もできないし、相談すると怒られていたような気がします。短気だし。 はっきり言って大嫌いでした。 ...
追想

カモメの背を見ながら㉒

ほんとうは、君が現実だと思っているものは夢で、君が夢だと思っているものが現実なんだ。 バックが書いた「イリュージョン」に、確かこんなような事が書いてあった。20歳の頃から妙にこの文句が好きで、座右の銘じゃないけれどこの言葉を心の中の大...