追想

追想

カモメの背を見ながら②

拾ったタバコを吸うのは、存外にうまかった。 当時は浮世でまともな仕事する気などさらさら無く、半年前に数百万ほどあった貯金はあっという間に底をついていた。 財布をほじくり返すと131円。銀行口座の残高にはATMから下ろせな...
追想

カモメの背を見ながら①

昼休み。 ぼくはオイルと錆びのにおいがする鉄製の階段を下って、地上に降りた。 しばらく歩いて、さっきまで乗っていた船のほうを振り返ると、ちょうど二人の船員が甲板に出てきたところだった。 船の最上部の甲板に立つその二人の目には、...